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初出:書籍版第四部I SS 有意義な土の日 地位 階級:中級貴族 職種:側仕え見習い→側仕え・シャルロッテの側近 年齢関連 ローゼマインとの学年差:+2 作中での活躍 シャルロッテの側仕えを務める。 11年秋の終わりまでフロレンツィアの元側近の家で研修をしていた。(*1) リーゼレータ達とシュバルツ・ヴァイスの衣装について盛り上がっていた。 12年春、シャルロッテの側近に就任する。(*2) 初日全員合格のために圧を掛けられた一年生の姿を見て、リーゼレータに対してローゼマインのことを「考えていたよりも強引な方」と評した。 リーゼレータがシュバルツとヴァイスについて熱く語ったことで興味を示し、参考書を探しにいくという大義名分のもと、側仕え達で図書館を訪れた。 絵心があるようで、魔術具の衣装案をさらっと描いている。(*3) 15年春の段階では、成人側仕えとして引き続きシャルロッテに仕えているようである。(*4) 経歴 前01年 誕生 06年 洗礼式 09年冬 貴族院に入学 11年秋 側仕え見習いとしての研修期間終了。 12年春 シャルロッテの側近に就任。 14年冬 貴族院を卒業する。 15年春 エーレンフェスト防衛戦に、シャルロッテの側仕えとして参加する。(*5) コメント このコメント欄はwikiの情報充実のために設けた物です。 編集が苦手な方は以下のコメントフォームへ書き込んで頂ければ有志でページに取り込みます。 表示される親コメントには限りがあるので、返信の際は返信したいコメント横のチェックを付けて返信するようご協力お願いします。
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「………」 シン・シー……そう名乗った男の行動を、ヴァイスは一部始終観察していた。 言動から察するに、彼は人外……つまり、人間ではない存在を敵視し、人間の味方を自称しているようだ。 そして、そのために容赦をしないことも理解した。 「………」 理解した。……が、それだけだ。少なくとも、ヴァイスの価値観に照らし合わせると、その行動は全く許容できない。無論、この男に同情などと言う安い感情はない。つまり、結論は一つ。 『面白くない』。 ヴァイスの娯楽は、他人を利用して他人を「壊す」……具体的には、喪失や自己嫌悪の輪廻に叩き落とすこと。 あるいは、それらの発起点になるかとも思ったが、あれではとても使えない。 妖怪やその主などは心底どうでもいいが、あの男、シン・シーの行動は非効率的に過ぎる。 (下らない区分けに拘るとは……全く、ワタシの遊技場を荒らして回られては困るのですよ) 奴がこのまま動けば、いかせのごれの妖怪は一挙に危機に陥る。その中には、アースセイバー・ウスワイヤに属している者も少なからず存在する。仲間意識の強い彼らは対抗措置を取るだろう。あるいは、それに乗じてホウオウグループが介入して来る可能性も大いにある。 そうなれば、いかせのごれは人知れぬ混乱の渦に叩き込まれる。そしてそうなってしまえば、せっかく良い「役者」の揃っているこの場所で動くことが難しくなる。 ああいう効率の悪すぎる行動をとる人物は、ヴァイスにとっては嫌いなタイプだ。それだけなら放っておくが、自分の邪魔になりそうだというなら話が別だ。 (ここはまず……ん?) 「そこにいる人間は、人外の味方なのかな…?」 (む) どうやら向こうは自分に気づいていたらしい。確か本人が「能力のオーラが見える」と言っていたから、その力によるものだろう。 「……さて。少なくとも味方ではありませんがね」 わかっているなら隠れる意味はない。軽く、ヴァイスは死角から姿を現し、その男、シン・シーに相対する。 「………」 改めて見ても、この男はかなり珍妙な格好をしていた。が、それがかえって、闇の中に溶け込むような、不気味な「非存在感」を現していた。 「……何ですか、その格好は」 「あなたに言われたくはないなぁ」 確かにヴァイスの格好も大概珍妙だが。 「確かに。ですが、今そんなことはどうでもいいのですよ」 「へぇ? ま、いいや。ところで、あなたは何をしてるのかな。どうして僕の後をつけて来たのかな」 「何……次のシナリオの種にならないかと思ったのですがね」 「シナリオ、ねぇ。もしかして噂に聞く、人を壊すためのあれかな」 帽子の鍔を片手で上げる。どうやら、向こうは思ったよりこちらの事情に通じているらしい。 「まさしくその通りですね」 「そうか……噂は真実だったってわけか」 「それで、どうしますか『人間の味方』。人を壊すワタシを排除しますか?」 「そうだね……今は他にすることがある。それは」 シンの台詞を、ヴァイスは先取りして言葉に変える。 「害なす人外、妖怪の完全排除ですか」 「あれ? 何だ、わかってるなら話が早いや。僕は、あいつらを全員排除するつもりなんだ」 「……単刀直入ですね」 「余計に言葉を飾るのは趣味じゃないんだ。……ともあれ、人外の味方じゃないならいいや。僕の敵はあくまで人外だからね。……じゃ、これで」 軽く言って、その場を立ち去ろうとするシンの、 「待ちなさい」 その足下に、ヴァイスの放った投げナイフが突き刺さった。 視線がわからないが、明らかに怪訝な顔をしている。 「……何のつもりかな」 「見ての通りですが」 瞬間、その場に敵意が満ちる。 「……嘘はつかないのが信条じゃなかったのかい? それとも、それ自体が嘘なのかな? やはり、人外の味方なのか、あなたは」 「いいえ、違います」 鋭い声で言うシンに、ヴァイスは明確な否定で返す。 「人外の味方をするのではありません。アナタの邪魔をします」 「理由は何かな?」 「アナタにこのまま動かれると、巡り巡って逆にワタシが動きにくくなるのです。それは困るのですよ」 「……僕は『人間の味方』だけど、振りかかる火の粉を払うのは吝かじゃない」 す、とシンもナイフを取り出す。 「殺しはしない……けど、少し大人しくしていてもらうよ。あの人外達を排除するまでは、ね」 「だから、それをされてはワタシが困るのですよ。あなたこそ、邪魔をするなら消えてもらいます」 他者から見れば、いずれも狂人。しかれど、互いに思惑があり、それが相容れない。となれば、戦うのみ。 「では、行くよ」 「来なさい、『正義の味方』とやら」 シンとヴァイスの戦いは、かつてこのストラウルで何度か行われた派手なものではなかった。でありながら、状況はシンの圧倒的不利だった。 「人間の味方」を自称するシンの攻撃は、あくまでも「人間」であるヴァイスの命を狙ったものではなく、動きを封じることを意図したもの。逆に、シンを邪魔者とみなしているヴァイスの攻撃は、殺せるならば今すぐ殺すほどの鋭さを持っていた。 「く、速い!」 「手加減している場合ですか? 死にたくなければ殺す気で来なさい」 しかし、対するヴァイスの方も攻めきることが出来ない。明かりのほとんどない闇の中、シンの姿は時折霞むようにして視界から消えるため、決め手となる一撃を叩き込めない。対するシンの方は能力でヴァイスの位置を捕捉出来る。この差は決定的だった。 シンはその心情ゆえに致命打を繰り出せず、ヴァイスはこの状況ゆえに致命打を打ち込めない。 おまけに場所が場所だった。ここはストラウル跡地、「アンバランスゾーン」だ。理由もなしに何かが起こる。ここで常識や「そんなはずはない」という観念は通用しない。予想外の何かが起きる可能性を常にはらんだ場所での戦闘だ、両者とも慎重にならざるを得なかった。 「むッ!?」 「させるか!」 互いに決定打を出せないまま、応酬だけが延々と続く。そんな繰り返しに、先に音を上げたのはシンの方だった。 「やれやれ……これ以上続けていても埒が開かない。ここらで退かせてもらうよ」 「逃がすと思いますか?」 シンが一歩バックステップしたタイミングに合わせ、ヴァイスがナイフを真っ直ぐに投げつける。が、 「む?」 その一撃は、闇の中に溶け込んだシンを捉えられず、カラン、と乾いた音を立てて転がった。 「僕は人間の味方だ。必要とあらば、あなたとも協力する。人外を排するためなら、僕は手段を選ばない」 闇の中から聞こえるその声に、ヴァイスはため息を一つつき、返した。 「……では、一つ忠告をしておきましょう。とある家に、近く人外がひとつ来ます」 「へぇ? それは見逃せないな……」 「ですが、手を出すのはやめておきなさい。下手をすると痛い目ではすみませんよ」 脅しではない、実感からの本音として、ヴァイスは答えを知りつつも言う。案の上シンの答えは、 「忠告は受け取っておくけど、人外は見逃せない。どんな力を持っていようと、全て排除するだけだよ」 それを最後に、気配は消えた。その場を去った男に、ヴァイスはもはや届かぬ警告を送る。 「問題は、その人外そのものではありません……『彼女』の許には、何人もの守護者がついています。アナタとは絶対的に相容れない者達が、ね。それに、アースセイバー所属の者を襲った以上、アナタももはやただではすみません」 真っ先に頭に浮かんだのは、赤と白、特徴的な髪を持った姉妹と、格闘の達人。そして、異能殺しの男。彼ら彼女らとは、シンは絶対に相容れまい。 「……まぁ、後は地球の剣達に任せるとしましょうか」 物憂げにひとりごちると、ヴァイスもまた、闇の中に姿を消した。 狂人と「正義の味方」の邂逅 (敵か、味方か) (知る者も、知らぬ者も) (容赦なく、巻き込まれていく)
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ヴァイル #ref error :画像URLまたは、画像ファイル名を指定してください。 imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (vai.jpg) 入党時期 2010.4ころです キャラクター1 アスカ キャラクター2 グレイス キャラクター3 エミリア(普通の・・・ ベンチウォーマー アデさん、イッジなどなど 党首について イベントお疲れ様です、次まってます! 好きなNPC あすか~ 好きなコス まだ良くわからんです・・ 好きなエリア 敵がどっさり沸くところ クエスト挑戦可否 聖魔水 トルシェ地下 ジャケン地下 ひとこと やっとVtになれました。不要な装備引き取りますm9っ`Д´) ビシッ!!
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パーソナル 身長 ?cm 体重 ?kg 所属:無限蛇(アンリヒカイト・ヴィーパ) 二つ名:暴君 異能 『メギド・フレイム』 PARADISE LOSTの登場人物。CV なし デザード・グレイヴとギース・クレメンスと同じく、隔離街を支配する暴力組織「無限蛇」の頂点に立つ三首領の一人。 外見は初老の紳士。大繁華街のあるD3区画を直轄している最古参の蛇であり、事実上組織の中核を担っている為、デザードから慇懃無礼に『盟主』と呼ばれている。 他二人に息を飲ませる威圧感を発するなど老齢ながらその実力が伺える。 来歴 ゲート制御装置を用いて外世界との交易を任されているギース・クレメンスや、「蛇」の毒牙として武力を振るうデザード・グレイヴに比べると、表に出る機会が少ない男。 その昔、影武者役のシグマというクローンの弟がいたが、抗争中だった当時のデザードによってシグマが重傷を負って身体の変異が始まると、役立たずとして放逐したらしい。 その姿は「鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス」とでも言うに相応しいものであり、ギースやデザードを煽って自らは手を出さず、漁夫の利を得ようと画策しており、実際ジューダス・ストライフも策士としては優れていると評価している。 能力 異能は『メギド・フレイム』 発火能力(ファイアースターター)という希少で強大な力を持ち、大小様々なサイズの数千度にも及ぶ火球を狙った場所へ投擲・設置する事ができる。 さらにアズラーンはナパーム液を用いる事で改良を加えており、恐らく普通のバトル物であればボスキャラになれたと思われる……が、如何せん登場した作品が悪く、作中では本物の超劣化版に過ぎなかった為、対戦したジューダス(ベルゼバブ)には「愚かすぎる」「我らの主に対する侮辱」などと蔑まれてしまった。 本編での活躍 プロローグでデザードの部隊がデスサイズによって壊滅。責任の所在を追求するクレメンスや武力行使を強行しようとするデザートらを諌め、“外”から来た男、ジューダスを報復の代行者に任命する。 この案はクレメンスの力をそぎ落とすのと、スパイ疑惑があるジューダスの排除という一石二鳥のもので、アズラーンの狡猾さを物語っている。 クレメンス排除の為、デザードと一時の同盟を組むものの、新型ドラッグ『暴食(グルトニー)』を手に入れたクレメンスにより力関係を逆転されるが、その後ベルゼバブをめぐる闘争で他の首領二人があっさりと脱落していく。 一人静観を決め込んだアズラーンのみが生き残り、漁夫の利を得てほくそ笑んでいたのも束の間、シグマの指示を受けたジューダスの襲撃を受ける。 自慢のメギドの炎で圧倒したかに思えたが、正真正銘の本物のベルゼバブをその身に宿したジューダスにとってアズラーンなど敵ではなく、移植後の実験台として御多分に洩れずあっさり処刑されてしまった。 備考 アズラーンの最大の敗因は、圧倒的不利な状況下で「滅びろッ!」 という死亡フラグ以外の何者でもないセリフを言い放って攻撃してしまったことだろう。 一応戦闘シーンと死亡シーンはもらえたので、他の二人よりも出番的には幸せ……かもしれない。 関連項目 無限蛇 シグマ・ヴァイスハウプト ジューダス・ストライフ CV :なし ( ゜Д゜) -- 名無しさん (2012-02-07 12 43 42) ギースとデザート、シグマも身長体重のってる所あるけど、アズラーンは見つからないんだよな~冷遇されすぎだろw 書いてあるとこ見つけたら追加しといてください。 -- 名無しさん (2012-02-07 12 53 09) アズラーンどころか他の二人にもCVなし -- 名無しさん (2012-02-07 19 09 32) 新装版でボイスつくと期待してたのに・・・ -- 名無しさん (2012-02-08 18 57 32) 違うんだ皆の衆!きっとボイスが付いた日にはメインを喰っちまうほど魅力的なキャラに化けるから敢えてボイス無しなんだよ!……と言ってみるん -- 名無しさん (2012-02-13 21 53 14) おかげさまでパラロスは「ああ、喋らないからこいつ雑魚なんだな」とわかってしまう -- 名無しさん (2013-02-23 21 29 37) ベリアル・ベルゼバブ「・・・・・・・・・」 -- 名無しさん (2013-02-23 22 02 35) パラロスのあずにゃん -- 名無しさん (2013-02-24 00 01 52) なぜ正田卿の作品の炎使いは咬ませが多いのか…(赤騎士は除く) -- 名無しさん (2016-01-24 19 31 40) 下手すると主人公どうやったら勝つの?レベルだから -- 名無しさん (2016-01-26 19 26 35) この人もシグマと同じく、メッチャ大物っぽい立ち振舞いしてたのに(それこそ最期のギリギリまで)あっさり死んだキャラの一人。この頃の正田卿は小物臭いカマセキャラが好きじゃなかったのかね…… -- 名無しさん (2016-01-26 23 45 31) 発火能力より掌からナパーム液出して自分に引火しないのが凄い。というかナパーム液出すってこの人フリークスかよ -- 名無しさん (2018-12-11 03 18 28) アズニャ〜ン好きよ -- 名無しさん (2018-12-11 04 04 45) パラロスの噛ませって名前は強そうで格好良い 名前は -- 名無しさん (2018-12-11 20 05 37) パンテオンに☆1で登場しないかな -- 名無しさん (2018-12-11 21 19 10) 強い超能力は活動位階相当。活動螢でも睨んだ相手燃やして、拳で鉄板貫通する。登場するか微妙 -- 名無しさん (2018-12-11 21 43 39) 名前だけで言えば創造クラス -- 名無しさん (2020-02-28 02 20 09) 手のひらから火出すって普通のバトルものでも序盤の敵その1かその2くらいだろ。他所のバトルもの舐めすぎ -- 名無しさん (2020-02-28 18 35 15) ボスつってもいろいろあるからな、数千度なら序盤ボスくらいには十分なるだろ -- 名無しさん (2020-02-28 18 45 50) 最近は能力の複雑化・インフレが多いのもあるし、昔なら主人公側のレギュラーキャラでもいける能力ではある。無慙はこいつの事もよく知ってるんだろうなぁ -- 名無しさん (2021-05-12 19 27 44) 今思ったら本当に徹頭徹尾スィリオス兄さまへの侮辱だよな本人最終的に許すだろうけど -- 名無しさん (2021-07-22 18 22 07) スィリオスは許す、周りが多分許さない、特にナーキッド -- 名無しさん (2021-07-22 19 46 23) なんなら物理特攻の無価値の炎ですらスィリオスの劣化版だけど、本物はそもそも破壊も何もしないという……。 -- 名無しさん (2023-09-17 11 40 48) 名前 コメント
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1以外の手によって書かれたリヴァイアたんのレスをまとめたものです。 セリフや擬音など以外のものはカットしてあります。 ~~編?というのは、自分の整理用につけたものです。邪魔なら消してもらってかまいません。 77微エロ編? リ「ぁっ…んっ…んぁ…」 男「おやおや、リヴァイアタンはあそこも水属性なのかな?」 リ「ぁっ…そんな…んっダメぇ///」 男「じゃあ次ry」 110仲裁編? リ「イフリーたんなんて消えちゃえ!タイダルウェーブ!」 イ「蒸発させてやんよ!地獄の火炎!」 バ「めがふれあ」 バ「けんかはダメ」 リイ「ごめんなさい」 476 いっぽう そのころ… リ「あなた。ちょっとそこのあなた。お名前、なんでしたかしら?」 カ「…ひどいね。リヴァイアさん。僕、カトブレパスだよ…」 リ「あなたの名前なんてどうだっていいんです!」 カ「…聞いてきたの…そっちじゃん…」 リ「そんな事よりあなた。猫背すぎますわよ」 カ「…そう? …そうかなぁ…」 リ「というよりアゴが地面を擦ってるじゃありませんの。もはや猫背というレベルではなくってよ?」 カ「…そんな事言われても…僕…この格好が楽なんだよ…」 リ「ダメですわ! そんなあなたを見ていると、こっちまで姿勢が悪くなりそうですもの!」 カ「…そ、そんなぁ…」 リ「ほらっ! もっと背筋を伸ばして! シャンとなさい、男の子でしょう!?」 カ「あのっ…痛い…痛いです…! ってゆーか折れます…! 背中ベキベキいってます…っ…!」 リ「ふぅ。まぁ今日はこのぐらいで勘弁して差し上げますわ。 今度見かけた時にまた姿勢が悪かったら、再び矯正致しますからね? 覚悟してなさい?」 カ「えぐっ…背中…痛い…。 …汚された…汚されちゃったよ……」
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インザーギ兄 【いんざーぎにい】 * 普通にリア充普通にキモオタ * 普通にイケメン * いかん、背後を取られた! * ↓ 着眼者が多いから仕方ないね * コメントしないとコメントしにいかない * 携帯電話を所有していなかった * 女子高生の随筆でよく見かける。 * どこにでもいる普通のイケメン。笑 (masaki) * 傍から見てると重度の女好き * 異常なコメント率を誇る * 東京御徒町周辺に生息。上野系ファッション。 * 処女奪い記事を書いた人 * イケメン * NEO-GEOフリーク * たまに恐い。 (拉麺) * プロのストーカーである * 人を引き込む魅力を持っている * ピッポ * 語尾にbをつける * BAMBOO BLADEにやたらハマッていた * 同じマンガやDVDを複数購入する (kinpira) * 裏随筆がちょっと生々しい * 少女漫画同盟盟主 * 何かと知的 * 充実したオタクライフとリアルライフを両立する稀有なナイスガイ
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その日、空橋 冬也はその男と偶然に遭遇していた。 自分にとって忘れがたいトラウマを植え付けた張本人、漆黒を纏う最悪の愉快犯。 「!? ヴァイス=シュヴァルツ……!!」 名を呼ばれた本人は、「おや」と空を見上げていた顔を降ろして振り返り、何とも意外そうな表情をしていた。 「誰かと思えば、いつぞやの……その後、あの氷使いとはいかがですかね」 「お前に心配される謂れはない……!」 目の前にいるのは紛れもない敵、しかし冬也個人には戦う術はほぼない。 ヴァイスがその辺をわかっているかどうかは不明だが、人気のないこの状況で向こうがかかって来ないのは不幸中の幸いだった。 簡単に逃げられないのはわかっている、ならば少しでも情報を引き出すまで。 決意して、目の前の男に「万象透視」を使おうとして、 「!!」 「……ふむ」 直前で踏みとどまった。ヴァイスの能力「マニピュレイト」は目を合わせた相手を操る。意識を集中するために「見る」必要がある自分の能力とは相性が悪かった。 「存外冷静ですね」 「……お前、ここで何を」 問うと、ヴァイスはまた空を仰ぐ。 「さあて、ねぇ。何かをしようとは思っていたのですが……はて、何をしたかったのでしょうかね」 空々しい言葉だったが、冬也は警戒しつつも違和感を覚えていた。 自分の知る、あるいは仲間達の語るヴァイスにあった、どこか壊れたような狂気の気配が欠片もないのである。 むしろ、獏也に通じる自然な感覚があった。 「……お前……本当にヴァイスか?」 思わずそう尋ねてしまったのも、無理からぬことと言えよう。 対するヴァイスは、落ち着き払ってこう言った。 「その問いが、『今、ここにいるワタシがヴァイス=シュヴァルツであるのか否か』という意味でしたら、その通りと答えましょう。それも真実です」 まるで、他にも真実があるかのような物言いだった。 冬也の困惑を意に介さず、ヴァイスは言う。 「空橋 冬也さんでしたか。アナタには、ワタシが確かにここにいると、断言できますか?」 「何……?」 断言も何も、実際に目の前にいるのだからそうするしかない。 そう思う冬也をこそ、ヴァイスは嗤う。 「何がおかしい!」 「ククク……いえ、ね。『確かにここにいる』と断言されれば、真実と認めざるを得ないのですよ。事実としてワタシはここに『も』いるワケですから」 相変わらず人を煙に巻く物言いだったが、冬也の認識はその中に聞き逃せない一言を捉えていた。 「……ここに『も』いる、だって?」 「そう、ここに『も』です。ワタシはここにいる。そして、秋山神社にいる。『運命の歪み』の本拠にいる。ストラウル跡地にいる。いかせのごれ高校にいる。UHラボ跡地にいる。ホウオウグループの支部にいる……」 「な、に?」 不意にすっ、と笑みが消える。 「ワタシはね、空橋 冬也さん。『遍在』しているのですよ」 「遍、在?」 「『遍』く『在』る。もっとも、『こう』なったのは少し前の話ですがね。そう、ワタシの死亡記事が出たあの日ですよ」 その記事は冬也も知っていた。左目のない、黒ずくめの男の身元不明死体が発見され、今なお身元がわかっていないというあのニュースだ。 ウスワイヤ情報ではその後、回収された遺体が消えた、と掴んでいる。 「諸事情あって一度死にましたが……これによってワタシという存在は、遍在へと変わりました」 「…………?」 意味のつかめない冬也に、ヴァイスはなおも語る。 「今のワタシは、場所も、時間も関係なく『在る』モノです。過去も、未来も関係なく、ワタシは『在る』。ですから、そう」 「語られていない過去の事件に、ワタシが関わっていたとしても、何の不思議もないのですよ。例え遙かな過去だろうと、今のワタシが『在る』のですから」 「な……!」 「アナタは不思議に思いませんか? このいかせのごれは、世界全体を見ても類のないほど、能力者や超常の存在が闊歩している。言うなればここは、神の手違いが集約された場所なのですよ」 ヴァイスは言う。それはつまり、このいかせのごれには世界……運命の歪みとでもいうべきモノがあふれているのだと。 「歪みが大きくなれば、その分事象にもズレが生じ、やがてはいかせのごれ全体のバランスの崩壊を招きかねません。そう、明らかに超常の事件でありながら、未だ解決されていない事象などがね」 トリガーの定かならぬ事象は、いずれ巡り巡っていかせのごれ全体に波及する。 「今のワタシは言うなれば、世界の歪みの化身にして、それを是正する者。霧に隠された事件に『原因』という形で関わり、世界に調和を齎すための必要悪。それが、アナタ達の知る、あの死亡記事以降のワタシです。………都市伝説に近いですかね?」 「………!」 「以前のワタシには人としての過去がありましたが、『こう』なった時点でほぼ無意味となりましたよ。ま、どうでもいい話ですが」 絶句する他なかった。それでは、まるで……。 「まあ、ワタシ個人の趣味も多分に含まれていますがね。大仰な使命感など背負った覚えはないのですよ。ワタシはどこまでも運命の歪みであり、それ以上に演出家なのですから」 くつくつと、心底愉しげに笑う。 「ともかくそういうワケです。今のワタシは、殺すことは出来ても滅ぼすことは出来ません。例えここにいるワタシを殺したとて、仮に存在を消し去ったところで、それはワタシの『遍在』を否定するには足りないのですから」 「……何度殺しても、何度滅ぼしても、また現れるっていうのか」 「そういうコトです。もっとも、だからと言って素直に殺されるつもりはありませんがね」 それでは、と一礼し。 「長話はこれまでとして、失礼させていただきます。今後の健闘をお祈りしますよ、アースセイバーの皆さん」 前触れもなく、不意に、ヴァイスの姿が消えた。 「…………」 残された冬也は、ただ呆然と、彼のいた場所を見つめていた。 道化師、遍く (暗躍はなおも続く……)
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フライハイトクラウディア part64-386~399 386 :フライハイトクラウディア 1◆lj5erOnLIg:2013/01/25(金) 13 16 59.87 ID f+ntCcsx0 軍事大国カイゼルシュルト、魔法国家セントミラ、機械文明が発達したルセムルクなど大小の国家が存在する空の世界、クラウディア。 主人公レイナスはカイゼルシュルト軍の少尉であり、王の命令を受けて親友でもありライバルでもある同期のロナード、上司のドモラ中尉と共にバーデルゼンへの侵攻を開始していた。 レイナスとロナードがまずは先兵として隊を率いて上陸し、司令塔制圧にかかっていた。それも時間の問題だと思われていた頃、後続部隊としてバーデルゼンの島付近に控えていたドモラ隊は、カイゼルシュルト王より突然の命令変更を言い渡される。 それはバーデルゼンの全ての兵士、及び全ての市民を抹殺せよという信じがたいものだった。 その頃レイナスはバーデルゼンの兵士に猛攻を仕掛け、ついに司令塔へ乗り込む。司令塔には避難した民間人もいる。 レイナスは部下に、たとえ戦争であっても無力な民間人を斬るために軍人になったわけではない、と民間人には手を出さないよう命令して司令室を目指す。 屋上の司令室には司令官のがルボアが待ち受けていた。どうにかガルボアを倒し、司令塔の制圧を完遂する。 しかし屋上へと出たレイナスが目にしたのは、司令塔へ避難していた民間人の累々たる死体だった。 誰がこんな事を、と憤るレイナスの耳に女性の悲鳴が突き刺さる。 駆けつけた先にいたのは、今まさに女性を斬り伏せるロナードの姿だった。 思わず詰め寄るレイナスに、ロナードは冷めた目を向ける。そこにロナード隊の兵が本船より受けた命令の変更をレイナスに伝える。 『バーデルゼンの全ての兵士、及び全ての市民を抹殺せよ』 387 :フライハイトクラウディア 1◆lj5erOnLIg:2013/01/25(金) 13 19 19.99 ID f+ntCcsx0 激高するレイナスは、いくら本船からの命令であっても聞けないと叫ぶ。その時、ロナードの冷たい刃が振り下ろされる。 ロナードは本気でレイナスを斬ろうとしていた。 咄嗟に応戦するが、とても勝ち目はない。 周りの兵士達は謀反だ! 反逆者だ! とレイナスを追い立て、ロナードにとどめを刺すように言う。しかしロナードの手はすぐに動こうとはしなかった。 レイナスはその隙をついてどうにか塔の中に飛び込むと、ここからの脱出を試みる。 しかし塔の外に出たレイナスを、ドモラが待ち構えていた。 レイナスは思わずドモラに叫ぶ。 「ドモラ中尉! なぜあんな命令を!」 「陛下のご命令だ……。レイナス……、それ以上邪魔をすれば反逆罪だぞ」 反逆者となれば軍から追われる立場になるのは必至。 しかしレイナスは己の信念を貫くことを選ぶ。 「何もしていない民間人を殺すことはできません!」 若き部下の覚悟を見たドモラは自らも戦斧を抜くと、部下達に命じる。 「反逆者レイナスを捕まえろ!」 同時刻、カイゼルシュルトのバーデルゼン侵攻に偶然巻き込まれた商人ベルンハイムと同乗者のニアは、負傷した街の人々の救助にかかっていた。 そこに追手から命からがら逃げてきたレイナスがやって来る。足取りもおぼつかず、その場に倒れてしまうレイナスを、ニアは渋る船長を押し切って助けるのだった。 388 :フライハイトクラウディア 1◆lj5erOnLIg:2013/01/25(金) 13 22 22.26 ID f+ntCcsx0 <レイナス回想> 士官学校時代、レイナスとロナードは親友と同時にライバルであり何かと張り合うことが多かった。 今日の試験課題は、遺跡から火石を持ち帰るというものでありチーム戦となる。士官学校の講師も務めるドモラは遺跡へ向かうルートで、炎食の渓谷を使うことは禁ずることを命じる。 そうして試験は始まった。 レイナスはチームを率いるリーダーであり、ロナードも同じ立場――。 前回の試験では負けたが、今度は勝つ。レイナスはロナードに俺達のチームの力を見せてやると告げて出発する。 <回想終了> 目覚めるとそこはエアシップ――エアベルンの中だった。船長のベルンハイムとニアに状況を説明され、改めてレイナスは、自分が反逆者という立場になったことを認識する。 「どうして……助けてくれたんだ? 俺は……罪のない人々を手に掛けた軍の兵士だ……」 「あなたには罪のない人々は殺せない……。当たってる?」 ニアが船長を押し切ってまでレイナスを助けたのは、直感的にそう感じたからだった。 優しさと強さを同時に持ち、己の信念を貫く――。 そこに部屋を出ていたベルンハイムが大慌てで戻ってくる。 魔獣(=モンスター)が船を襲っているというのだ。 争乱に巻き込まれたおかげで積荷を壊され、船にまで損害が及んだことを嘆くベルンハイムは、肉体労働で返せと言っていたが、どうやら早速役に立てそうだ。 389 :フライハイトクラウディア 1◆lj5erOnLIg:2013/01/25(金) 13 29 19.27 ID f+ntCcsx0 盛大に改行をミスりました。すみません。 この投稿から改善しています。 (以下続き) 魔獣を追い払い、エアベルンは修理のために魔法大国セントミラヘ向かう。しかしカイゼルシュルトが他国へ 侵攻している影響で警戒態勢にあるセントミラから警備隊が出てくる。ベルンハイムの機転により入港を 果たしたレイナス達を、セントミラに雇われた傭兵のハントが出迎えた。 船から出てきたニアを鼻の下を伸ばして迎えるハントだったが、レイナスが出てきた瞬間に銃を向ける。 レイナスはまだカイゼルシュルト軍の軍服を着たままだったのだ。 「カ、カイゼルシュルト軍だ! 取り押さえろ!」 ハントは愛用のクリスタル銃を構え、警備隊と共にレイナスを捕える。レイナスとベルンハイムは気絶させられ セントミラ城の地下牢獄へ、ニアはどこかへと連れて行かれるのだった。 ひんやりとした牢獄でレイナスが目を覚ますと、そこにはベルンハイムだけだった。鉄柵の向こう側では獄卒が 見張っている。そこに更にハントがやって来て、ニアがいないことを気にするが、獄卒は傭兵などには 教えられないと退ける。 そこで再びベルンハイムが機転を利かせる。船にある金の延べ棒を渡すから取引をしようと言うのだ。 獄卒は300本貰うことを引き換えに、ニアがどうなったか教える。 ニアはヴァイスという人物が直々に調べることになっていた。 「調べる?」 「陛下が何かをお探しらしい。今頃、裸にひんむかれて……」 と、そこでハントが突然牢の中に入ってくる。その手にはレイナスの剣と、ベルンハイムの小型爆弾があった。 獄卒は慌てるが、ハントは獄卒に銃を向けて雄叫びをあげる。 「……気が変わった。女の子を裸にひんむくだって!? ぜってぇ許さん!」 獄卒を叩きのめして牢から出たレイナスとベルンハイムはハントに礼を言うが、どうやらハントはフェミニストらしく、 可愛い女性のためと思えば、国のひとつぐらい潰してやるぜ。と笑う。 しかし具体的なニアの居場所は分からない。ひとまずヴァイスという人物を探すことにするが、 他の獄卒や兵士達に見つかってしまう。 「今度は脱走者扱いか……」 レイナスは溜息をつきつつ、剣を構えるのだった。 その時、牢獄の隅でその様子を伺う者がいた。細身の女性と部下らしき者だ。どうやらレイナスのことを 知っているようだが、接触せずにしばらく泳がせておくことにする 「私は弾薬庫の仕掛けを準備する。お前達は船に戻れ」 部下達が去った後、女性は笑みを口元に浮かべた。 「ふふ……。やるわね、レイナス」 390 :フライハイトクラウディア 1◆lj5erOnLIg:2013/01/25(金) 13 32 16.38 ID f+ntCcsx0 厳戒態勢が敷かれているセントミラ城をこのまま突破していくのは困難とみたハントは、 倒した兵士の服と鎧を拝借して変装することを思いつく。 一方セントミラ城の王の間では、セントミラ王とヴァイスが、ニアに事情を聞いているところだった。 王はバーデルゼンが全滅したことをニアから聞かされ驚きを隠せず、ヴァイスは強硬なまでの カイゼルシュルトの侵攻には何かあるはずと考えを巡らせる。 しばらく考えを巡らせていたヴァイスだったが、やがて王に向き直ると、 「エアゲートと何か関係があるのかも知れません。調査を急がせてはいただけないでしょうか?」 王もそれに同意したその時、三人のセントミラ兵が王の間に駆け込んでくる。牢獄から脱獄した者が ヴァイスを探して城内に侵入したというのだ。 「……私を?」 訝しむヴァイス。その言葉を三人は聞き逃さなかった。 「あんたがヴァイスか。陛下、申し訳ありませんが……ヴァイス殿を人質にさせていただきます」 変装を解いたハントがヴァイスを手早く拘束し、レイナスとベルンハイムがニアを保護する。 ヴァイスを抱えたハントは最後にセントミラ王に一礼するとそのまま王の間を飛び出していった。 しかし王は、よりにもよってヴァイスを人質にとった脱走者達に哀れみと同情を隠せずにいた。そこへ別の兵士が 飛び込んでくる。 カイゼルシュルト軍が大型空中戦艦ヴァルハイトを従えて、セントミラ国境を越えたというのだ。 391 :フライハイトクラウディア 1◆lj5erOnLIg:2013/01/25(金) 13 35 10.51 ID f+ntCcsx0 一方レイナス達は追手をどうにかかわしてエアベルンへ辿り着く。だが離陸した彼らの前に現れたのは、セントミラ国境を 越えてやって来たカイゼルシュルト軍だった。反逆者を見つけたカイゼルシュルトは、こちらにも攻撃を仕掛けてくる。 どうすべきか判断を迫られるレイナス。 「ここはセントミラに加勢しよう! このままセントミラが攻撃されるのを、黙って見ているわけにはいかない」 ここでもレイナスは自分の身より信念を貫くことを決めたのだ。 それを見て、ヴァイスが協力を申し出る。 「手伝いましょうか? あなた達がカイゼルシュルトを叩くのなら、今は味方です」 魔法も少々使えますのでと不敵に微笑むヴァイスに、ハントがはっと声をあげる。 「まさか、お前……雷光のヴァイスか?」 「ハント・ザ・マジックスナイパーに名前を覚えられているとは、身に余る光栄ですね」 ヴァイスは雷魔法の練達者として名を馳せるセントミラの若き宮廷魔術師であり、ハントは魔銃と呼ばれる特殊な クリスタル銃を扱う百戦錬磨のスナイパーだった。 レイナスの剣技、ハントの魔銃、ヴァイスの雷魔法、ニアの施術(=治癒術)で次々と相手を蹴散らしていく。 一方、本作戦の指揮を執っていたドモラは、エアベルンにヴァルハイトを近付けるよう指示する。自らも戦斧を振るって 戦おうというのだ。そしてその後ろでは、ロナードが寡黙に佇んでいた。 392 :フライハイトクラウディア 1◆lj5erOnLIg:2013/01/25(金) 13 37 48.64 ID f+ntCcsx0 やがてセントミラ本隊も出撃し、このまま優勢になるかと思われたがセントミラの武器庫が爆破され、戦況は 再び混乱する。さらにドモラのヴァルハイトがついにエアベルンに迫る。 レイナス達は巨大な戦斧を振るうドモラに苦戦するが、どうにか凌ぐ。だが次に現れた相手に、レイナスは 仲間を下がらせ一人で剣を構えた。 ロナードである。 「これは俺達の問題だ……。絶対に手を出すな……。 親愛なる我が友よ……。せめて俺の手で、眠らせてやる」 しかしロナードは強かった。レイナスは再びロナードの剣に追い詰められてしまう。 それなのに、とどめを刺せというドモラの怒号が飛んでも、ロナードはレイナスにとどめを刺そうとはしなかった。 今がチャンスとベルンハイムがエアベルンを撤退させる。ドモラも即座に追おうとするが、そこにセントミラ上空に 赤い閃光弾が放たれた。それはセントミラの勝利を示していた。 こうしてカイゼルシュルト軍はセントミラより撤退していった。 エアベルン船内ではレイナスがニアに施術を受けていた。どうにかカイゼルシュルト軍を追い払えたことに安堵する 面々だったが、ヴァイスの表情は険しい。彼はロナードの首筋に、ある痣を見つけたのだ。それは彼が調べている 『エアゲート』に関連していた。 ヴァイスはレイナス達に聞いてほしい話があると言って、もう一度王に会うよう頼む。 一方、ドモラはカイゼルシュルトに帰還し、カイゼルシュルト王に報告へ向かっていた。だが王はそれに対して 何を言うでもなくただ一言「神の塔へ行け」と虚ろな目で告げる。しかも今回はロナードではなく、最近カイゼル シュルトに姿を現した謎の人物、ザマを連れて行けというのだ。 怪しげに笑うザマを薄気味悪く思いながらも、ドモラは神の塔へ向かう。 393 :フライハイトクラウディア 1◆lj5erOnLIg:2013/01/25(金) 13 43 58.88 ID f+ntCcsx0 セントミラ城にて、レイナス、ニア、ハント、ベルンハイムの四人は再び王に謁見する。 そこで話されたのは、エアゲートという突如空に現れた穴のことだった。それは最近カイゼルシュルト領の上空に現れ、 そこから少しずつ未知の魔獣が現れているというのだ。 エアゲートは昔にも存在しており、その時はある装置によって封印された。今なぜそのエアゲートが現れたのかは 分からないが、その装置に何らかの障害が発生したものと考えられる。 よってカイゼルシュルトとバーデルゼンに、セントミラは協力を仰ぐが、その直後にバーデルゼンはカイゼルシュルトにより 全滅させられ、セントミラも襲撃を受けることとなった。 自分も参加した作戦にそんな裏が隠されていたとは知らず、ただ驚くしかないレイナス。カイゼルシュルトがエアゲートと 何か関係しているのは明白だった。 「我々は何が起きようとしているのか突き止めたいのです……。そのためには、みなさんの協力が不可欠です」 国がおかしくなった原因がそこにあるなら協力しない手はない。レイナスは快く引き受ける。 しかし肝心の装置がどこにあるかは分からない。まずはそこから調べる必要があるかと思われたが、 「神の……塔……」 そう呟いたのはニアだった。神の塔とはプテリュクスにある機械の塔で、前時代の遺物である。 なぜその場所に装置があることを知っているのか不審に思うヴァイスだったが、ニアはそれを語ろうとはしなかった。ただ、 自分は味方である。信じてほしいと言うだけで。 こうしてハントとヴァイスを新たに仲間に加え、レイナスはプテリュクスの神の塔へ向かう。 しかしその道中、エアベルンをエアゲートが襲う。あわや吸い込まれるかとなったその時、ニアが転送魔法を使うと言う。 だがそれはクラウディアには存在しないはずの魔法だった。ヴァイスの制止をはねのけ、ニアは魔法を発動させる。 394 :フライハイトクラウディア 1◆lj5erOnLIg:2013/01/25(金) 13 46 43.23 ID f+ntCcsx0 レイナスは夢でかつての自分を見た。あの士官学校での試験、レイナスは禁止されていた炎食の渓谷を通っていた。 しかしあまりにも強すぎる魔獣達に苦戦を強いられ、レイナスを含め全員が疲労困憊していた。もう限界だという部下を、 俺達の絆があれば乗り越えられると進むレイナスに非難があがる。もうついていけないと、一人が逃げたのを始め、 次々に逃げ出しついにレイナスは一人炎食の渓谷へ取り残されてしまった。 ハントの声に目を覚ましたレイナスは、自分がプテリュクスの街近くにある森にいることに気付く。だがニアやヴァイス、 ベルンハイムの姿はない。さらには、周辺を調べたハントによるとドモラの戦艦を見つけたというのだ。 カイゼルシュルトも神の塔へ向かっていることを悟ったレイナスは、自分達もそこへ向かうことにする。 森を抜けた先のプテリュクスの街でヴァイスと再会し、神の塔へ着いたレイナスは中に入る。しかしそこにはいくつもの死体と 夥しい量の血だまりがあった。そしてその中にニアが立ち尽くしていた。 呆然と振り返るニア、疑問を募らせるヴァイス。しかしレイナスとハントはまったく気にせずニアとの再会を喜ぶ。 魔獣や制御不能となったセキュリティロボット、数々のドアロックを解除してついには最上階にある装置に辿り着く。 だがそこには既にドモラがいた。さらにザマが装置を完全に壊し、レイナス達の前に姿を現す。 「ザ、ザマ……!」 「クックックッ……。こんなところでお会いするとは……」 初対面のはずのザマをニアは知っていた。さらにカイゼルシュルトに関わっているのか問う。 するとザマは笑いながら自分がカイゼルシュルト王を操り、国全体を動かしていることを話す。憤るレイナスは、ザマを 倒せば王は元に戻るというニアの言葉に、彼に剣を向ける。しかしザマはドラゴンを召喚し、この場から消えてしまう。 このままドラゴンと戦うしかないのかと思われたが、タイミングよくベルンハイムがエアベルンで現れる。ドモラの協力の もとレイナス達は神の塔から脱出する。その直前、ドモラはレイナスに告げる。 「あいつも……操られているぞ……」 ロナード――。レイナスの脳裏に親友の姿が浮かぶ。 395 :フライハイトクラウディア 1◆lj5erOnLIg:2013/01/25(金) 14 07 12.69 ID f+ntCcsx0 無事に空へ脱出した一行だったが、ヴァイスがニアを問い詰める。エアゲートを封印していた装置のありかや、ザマを 知っていたこと、クラウディアには存在しないはずの魔法を使ったことなど、あまりにも疑問点が多すぎる。 いつ裏切るか分からないと問い詰めるヴァイスと、ニアを信じるハントは一触即発の状態になる。 そこにレイナスの、ニアが裏切るわけないだろ! という声が響く。 「ニアはもう……仲間だから……」 誰にだって知られたくないことがある。しかしそれは裏切りではなく、仲間に嫌われたくないだけとレイナスは言う。 ハントはもともとそんなものは気にしない。 それまで詰問していたヴァイスはそんな二人に、単純な人達だと言いながらも、自分もレイナス達の仲間に入りたくなったと 本音を口にする。レイナスはそんなヴァイスにも、もう仲間だと告げるのだった。 こうして絆も深まった一行は、ザマを倒すためにカイゼルシュルトへ向かう。 396 :フライハイトクラウディア 1◆lj5erOnLIg:2013/01/25(金) 14 11 30.09 ID f+ntCcsx0 カイゼルシュルト軍の陽動をベルンハイムが引き受け、レイナス達は城壁から城内に侵入する。 侵入したそこには、ザマが待ち構えていた。 その隣には、親友ロナードの姿も――。 ザマはレイナスとロナードを殺し合わせようというのだ。 手を貸そうとする仲間を制して、レイナスは一人ロナードと対峙する。 「お前はずっと気付いてくれるのを待っていたんだな……」 レイナスとロナードの剣が交差する。ロナードの長刀から激しい剣撃が繰り返され、レイナスは受けるので精一杯だった。 しかし今度こそ親友を救いたいという思いが届いたのか、ロナードの剣に迷いが生じ始める。 やがて冷たい光を宿していたロナードの瞳に、正気の光が見えた。自らの意思でザマに施された術を解いたのだ。 しかしそれを見たザマは、使えない人形に用は無い、とロナードを吹っ飛ばしてレイナス達の前に自ら立ちはだかる。 ついにザマとの直接対決である。 一方吹き飛ばされたロナードは壁に叩き付けられ気を失っていた。その中でザマに術を施された時のことを思い出し、 ようやく覚醒する。 目の前で親友レイナスがザマと戦っている姿を見て状況を把握したロナードは、窮地のレイナスを助けるために 戦いの渦中に身を投じる。 ロナードの助けもあって、レイナス達は苦戦の末どうにかザマを倒すことができた。しかしザマは謎の言葉を残す。 「お前達は何も分かっていない。やがて変化が起きる……。全ての事象は……我々が下すのだ……」 ザマの亡骸を後にして、レイナス達は玉座へ急ぐ。そこにはザマの術が解けたものの気を失っている王が倒れていた。 ずっと赤い世界の夢を見ていたという王に、おそらくエアゲートの中の世界ではないかと推測するヴァイス。 レイナスは魔獣を葬って欲しいという王の願いを託される。 「カイゼルシュルトの名にかけて世界を頼んだぞ!」 397 :フライハイトクラウディア 1◆lj5erOnLIg:2013/01/25(金) 14 13 30.77 ID f+ntCcsx0 その時カイゼルシュルト上空に以前に見た時よりさらに大きさを増したエアゲートが出現する。そこからは 見たこともない魔獣がどんどん溢れていた。 あまりの大きさに絶句する一行に、ついにニアが口を開く。 「みんなに話したいことがあるの……」 ニアによると、エアゲートはエルディアという別世界に繋がっているという。エアゲートの先は、元は魔獣研究所だった アルペイトケイヴ。そこに、フューゼという魔獣を生み出す魔獣が現れ、エルディアの人々は生み出されたその魔獣と 何年も戦い続けているというのだ。フューゼには何度も戦いを挑んだがその度に敗北してきた。 その話を聞いたレイナスは仲間を振り返る。何も言わずとも全員解っていた。 ロナード、ハント、ヴァイス、そしてニア。全員で、クラウディアとエルディアのために、フューゼを倒すことを決意する。 エルディアは赤い大地がどこまでも続く荒れた世界だった。そこに天高くアルペイトケイヴがそびえ立っていた。レイナス、 ロナード、ニア、ハント、ヴァイスの五人はついにそこに降り立つ。 中は壁や床が奇妙に脈打ち、まるでひとつの生き物のようだった。手強い魔獣や入り組んだ通路を抜け、一行は ついに最下層に辿り着く。 フューゼは三つの顔を持つ巨大な魔獣だった。想像を絶する相手に思わずたじろぐ仲間を鼓舞し、レイナスは 世界を守るために剣を抜く。 からくもフューゼを倒したレイナス達を、突然の揺れが襲う。あまりの激戦にアルペイトケイヴが崩れようとしているのだ。 急いでエアベルンに戻ろうとするが、フューゼは完全には倒れていなかった。しかし応戦していては逃げ遅れてしまう。 ヴァイスは咄嗟にニアと協力して転送魔法を発動させる。しかしその寸前で、ロナードはただ一人、フューゼに 止めを刺すために魔法陣から離れるのだった。レイナスの呼ぶ声虚しく、ロナードの姿は消えた。 エアベルンの甲板へ無事に脱出できたレイナス達を見て、ベルンハイムはすぐにこの場を離れようと言うが、 レイナスはアルペイトケイヴを見つめる。 「あいつが待ってる……」 レイナスはニアの制止を振りきって再びアルペイトケイヴに降り立つ。 「みんな、ありがとう……」 398 :フライハイトクラウディア 1◆lj5erOnLIg:2013/01/25(金) 14 14 55.61 ID f+ntCcsx0 最下層ではロナードが満身創痍で倒れていた。そこにレイナスが駆け寄る。助からないことを知っていて なぜ助けに来たと問うロナードに、レイナスは『あの時』のことを話し始める。 それは士官学校の試験で遺跡に火石を取りに行った時のことだ。禁止されていたルートを行ったことで、 レイナスの仲間は全員逃げ出した。 友情、信頼、絆。現実の前では何の意味も持たないことを、レイナスはとっくに解っていた。だが認めたくなくて、 知るのが怖くて、友人や仲間に見捨てられることに怯えて必死に強がっていたのだ。 そして――、そんな自分が嫌いだった。 あそこで死を覚悟していたあの時に、ロナードは来た。 汗と魔獣の返り血で全身ぐっしょりで、体中傷だらけになりながらロナードは事も無げにこう言った。 「レイナスじゃないか。こんな所で何やってるんだ」 と。 昔話から戻ったレイナスはロナードに言う。 「だから来たのさ……。同じことを言いにね」 「……馬鹿だな」 死を前にしているとは思えない笑い声が二人の間に響く。 その時、突如二人の前にフードをかぶった三人の人間が現れる。3種植合成種だとか、空の者だとか、 E.B.Sだとかいう単語を口にする者達にレイナスは警戒心を露わにするが、三人はまったく意に介さない。 さらにアルネウスの光やファルバナなど聞いたこともない単語が飛び交う。 やがてリーダーらしき男が何かを言うと、レイナスとロナードの足元に魔法陣が浮かぶ。それは転送魔法の 魔法陣だった。 一瞬の後に、レイナスとロナードはアルペイトケイヴから消える。 甲板ではレイナスとロナードをどうにか救えないのか、しかし何もできないことを悔やむニアとハント、ヴァイスの それぞれの姿があった。 そこに空間が歪み、レイナスとロナードが現れる。 二人の無事と再会を喜ぶニア、ハント、ヴァイスにレイナスは笑顔を向ける。 「みんな……。ただいま……」 399 :フライハイトクラウディア 1◆lj5erOnLIg:2013/01/25(金) 14 19 51.36 ID f+ntCcsx0 以上です 少々ツッコミどころがあるストーリーだったり、消化不良な点があったりしますが 10年近く前のモバイルゲームなので致し方ないとご容赦ください シリーズ化していて、現在4まで出ています。3で1から続く話は終わって、 4はまったく別の独立したストーリーになっています
https://w.atwiki.jp/storyteller/pages/1757.html
フライハイトクラウディア part64-386~399 386 :フライハイトクラウディア 1 ◆lj5erOnLIg :2013/01/25(金) 13 16 59.87 ID f+ntCcsx0 軍事大国カイゼルシュルト、魔法国家セントミラ、機械文明が発達したルセムルクなど大小の国家が存在する空の世界、クラウディア。 主人公レイナスはカイゼルシュルト軍の少尉であり、王の命令を受けて親友でもありライバルでもある同期のロナード、上司のドモラ中尉と共にバーデルゼンへの侵攻を開始していた。 レイナスとロナードがまずは先兵として隊を率いて上陸し、司令塔制圧にかかっていた。それも時間の問題だと思われていた頃、後続部隊としてバーデルゼンの島付近に控えていたドモラ隊は、カイゼルシュルト王より突然の命令変更を言い渡される。 それはバーデルゼンの全ての兵士、及び全ての市民を抹殺せよという信じがたいものだった。 その頃レイナスはバーデルゼンの兵士に猛攻を仕掛け、ついに司令塔へ乗り込む。司令塔には避難した民間人もいる。 レイナスは部下に、たとえ戦争であっても無力な民間人を斬るために軍人になったわけではない、と民間人には手を出さないよう命令して司令室を目指す。 屋上の司令室には司令官のがルボアが待ち受けていた。どうにかガルボアを倒し、司令塔の制圧を完遂する。 しかし屋上へと出たレイナスが目にしたのは、司令塔へ避難していた民間人の累々たる死体だった。 誰がこんな事を、と憤るレイナスの耳に女性の悲鳴が突き刺さる。 駆けつけた先にいたのは、今まさに女性を斬り伏せるロナードの姿だった。 思わず詰め寄るレイナスに、ロナードは冷めた目を向ける。そこにロナード隊の兵が本船より受けた命令の変更をレイナスに伝える。 『バーデルゼンの全ての兵士、及び全ての市民を抹殺せよ』 387 :フライハイトクラウディア 1 ◆lj5erOnLIg :2013/01/25(金) 13 19 19.99 ID f+ntCcsx0 激高するレイナスは、いくら本船からの命令であっても聞けないと叫ぶ。その時、ロナードの冷たい刃が振り下ろされる。 ロナードは本気でレイナスを斬ろうとしていた。 咄嗟に応戦するが、とても勝ち目はない。 周りの兵士達は謀反だ! 反逆者だ! とレイナスを追い立て、ロナードにとどめを刺すように言う。しかしロナードの手はすぐに動こうとはしなかった。 レイナスはその隙をついてどうにか塔の中に飛び込むと、ここからの脱出を試みる。 しかし塔の外に出たレイナスを、ドモラが待ち構えていた。 レイナスは思わずドモラに叫ぶ。 「ドモラ中尉! なぜあんな命令を!」 「陛下のご命令だ……。レイナス……、それ以上邪魔をすれば反逆罪だぞ」 反逆者となれば軍から追われる立場になるのは必至。 しかしレイナスは己の信念を貫くことを選ぶ。 「何もしていない民間人を殺すことはできません!」 若き部下の覚悟を見たドモラは自らも戦斧を抜くと、部下達に命じる。 「反逆者レイナスを捕まえろ!」 同時刻、カイゼルシュルトのバーデルゼン侵攻に偶然巻き込まれた商人ベルンハイムと同乗者のニアは、負傷した街の人々の救助にかかっていた。 そこに追手から命からがら逃げてきたレイナスがやって来る。足取りもおぼつかず、その場に倒れてしまうレイナスを、ニアは渋る船長を押し切って助けるのだった。 388 :フライハイトクラウディア 1 ◆lj5erOnLIg :2013/01/25(金) 13 22 22.26 ID f+ntCcsx0 <レイナス回想> 士官学校時代、レイナスとロナードは親友と同時にライバルであり何かと張り合うことが多かった。 今日の試験課題は、遺跡から火石を持ち帰るというものでありチーム戦となる。士官学校の講師も務めるドモラは遺跡へ向かうルートで、炎食の渓谷を使うことは禁ずることを命じる。 そうして試験は始まった。 レイナスはチームを率いるリーダーであり、ロナードも同じ立場――。 前回の試験では負けたが、今度は勝つ。レイナスはロナードに俺達のチームの力を見せてやると告げて出発する。 <回想終了> 目覚めるとそこはエアシップ――エアベルンの中だった。船長のベルンハイムとニアに状況を説明され、改めてレイナスは、自分が反逆者という立場になったことを認識する。 「どうして……助けてくれたんだ? 俺は……罪のない人々を手に掛けた軍の兵士だ……」 「あなたには罪のない人々は殺せない……。当たってる?」 ニアが船長を押し切ってまでレイナスを助けたのは、直感的にそう感じたからだった。 優しさと強さを同時に持ち、己の信念を貫く――。 そこに部屋を出ていたベルンハイムが大慌てで戻ってくる。 魔獣(=モンスター)が船を襲っているというのだ。 争乱に巻き込まれたおかげで積荷を壊され、船にまで損害が及んだことを嘆くベルンハイムは、肉体労働で返せと言っていたが、どうやら早速役に立てそうだ。 389 :フライハイトクラウディア 1 ◆lj5erOnLIg :2013/01/25(金) 13 29 19.27 ID f+ntCcsx0 盛大に改行をミスりました。すみません。 この投稿から改善しています。 (以下続き) 魔獣を追い払い、エアベルンは修理のために魔法大国セントミラヘ向かう。しかしカイゼルシュルトが他国へ 侵攻している影響で警戒態勢にあるセントミラから警備隊が出てくる。ベルンハイムの機転により入港を 果たしたレイナス達を、セントミラに雇われた傭兵のハントが出迎えた。 船から出てきたニアを鼻の下を伸ばして迎えるハントだったが、レイナスが出てきた瞬間に銃を向ける。 レイナスはまだカイゼルシュルト軍の軍服を着たままだったのだ。 「カ、カイゼルシュルト軍だ! 取り押さえろ!」 ハントは愛用のクリスタル銃を構え、警備隊と共にレイナスを捕える。レイナスとベルンハイムは気絶させられ セントミラ城の地下牢獄へ、ニアはどこかへと連れて行かれるのだった。 ひんやりとした牢獄でレイナスが目を覚ますと、そこにはベルンハイムだけだった。鉄柵の向こう側では獄卒が 見張っている。そこに更にハントがやって来て、ニアがいないことを気にするが、獄卒は傭兵などには 教えられないと退ける。 そこで再びベルンハイムが機転を利かせる。船にある金の延べ棒を渡すから取引をしようと言うのだ。 獄卒は300本貰うことを引き換えに、ニアがどうなったか教える。 ニアはヴァイスという人物が直々に調べることになっていた。 「調べる?」 「陛下が何かをお探しらしい。今頃、裸にひんむかれて……」 と、そこでハントが突然牢の中に入ってくる。その手にはレイナスの剣と、ベルンハイムの小型爆弾があった。 獄卒は慌てるが、ハントは獄卒に銃を向けて雄叫びをあげる。 「……気が変わった。女の子を裸にひんむくだって!? ぜってぇ許さん!」 獄卒を叩きのめして牢から出たレイナスとベルンハイムはハントに礼を言うが、どうやらハントはフェミニストらしく、 可愛い女性のためと思えば、国のひとつぐらい潰してやるぜ。と笑う。 しかし具体的なニアの居場所は分からない。ひとまずヴァイスという人物を探すことにするが、 他の獄卒や兵士達に見つかってしまう。 「今度は脱走者扱いか……」 レイナスは溜息をつきつつ、剣を構えるのだった。 その時、牢獄の隅でその様子を伺う者がいた。細身の女性と部下らしき者だ。どうやらレイナスのことを 知っているようだが、接触せずにしばらく泳がせておくことにする 「私は弾薬庫の仕掛けを準備する。お前達は船に戻れ」 部下達が去った後、女性は笑みを口元に浮かべた。 「ふふ……。やるわね、レイナス」 390 :フライハイトクラウディア 1 ◆lj5erOnLIg :2013/01/25(金) 13 32 16.38 ID f+ntCcsx0 厳戒態勢が敷かれているセントミラ城をこのまま突破していくのは困難とみたハントは、 倒した兵士の服と鎧を拝借して変装することを思いつく。 一方セントミラ城の王の間では、セントミラ王とヴァイスが、ニアに事情を聞いているところだった。 王はバーデルゼンが全滅したことをニアから聞かされ驚きを隠せず、ヴァイスは強硬なまでの カイゼルシュルトの侵攻には何かあるはずと考えを巡らせる。 しばらく考えを巡らせていたヴァイスだったが、やがて王に向き直ると、 「エアゲートと何か関係があるのかも知れません。調査を急がせてはいただけないでしょうか?」 王もそれに同意したその時、三人のセントミラ兵が王の間に駆け込んでくる。牢獄から脱獄した者が ヴァイスを探して城内に侵入したというのだ。 「……私を?」 訝しむヴァイス。その言葉を三人は聞き逃さなかった。 「あんたがヴァイスか。陛下、申し訳ありませんが……ヴァイス殿を人質にさせていただきます」 変装を解いたハントがヴァイスを手早く拘束し、レイナスとベルンハイムがニアを保護する。 ヴァイスを抱えたハントは最後にセントミラ王に一礼するとそのまま王の間を飛び出していった。 しかし王は、よりにもよってヴァイスを人質にとった脱走者達に哀れみと同情を隠せずにいた。そこへ別の兵士が 飛び込んでくる。 カイゼルシュルト軍が大型空中戦艦ヴァルハイトを従えて、セントミラ国境を越えたというのだ。 391 :フライハイトクラウディア 1 ◆lj5erOnLIg :2013/01/25(金) 13 35 10.51 ID f+ntCcsx0 一方レイナス達は追手をどうにかかわしてエアベルンへ辿り着く。だが離陸した彼らの前に現れたのは、セントミラ国境を 越えてやって来たカイゼルシュルト軍だった。反逆者を見つけたカイゼルシュルトは、こちらにも攻撃を仕掛けてくる。 どうすべきか判断を迫られるレイナス。 「ここはセントミラに加勢しよう! このままセントミラが攻撃されるのを、黙って見ているわけにはいかない」 ここでもレイナスは自分の身より信念を貫くことを決めたのだ。 それを見て、ヴァイスが協力を申し出る。 「手伝いましょうか? あなた達がカイゼルシュルトを叩くのなら、今は味方です」 魔法も少々使えますのでと不敵に微笑むヴァイスに、ハントがはっと声をあげる。 「まさか、お前……雷光のヴァイスか?」 「ハント・ザ・マジックスナイパーに名前を覚えられているとは、身に余る光栄ですね」 ヴァイスは雷魔法の練達者として名を馳せるセントミラの若き宮廷魔術師であり、ハントは魔銃と呼ばれる特殊な クリスタル銃を扱う百戦錬磨のスナイパーだった。 レイナスの剣技、ハントの魔銃、ヴァイスの雷魔法、ニアの施術(=治癒術)で次々と相手を蹴散らしていく。 一方、本作戦の指揮を執っていたドモラは、エアベルンにヴァルハイトを近付けるよう指示する。自らも戦斧を振るって 戦おうというのだ。そしてその後ろでは、ロナードが寡黙に佇んでいた。 392 :フライハイトクラウディア 1 ◆lj5erOnLIg :2013/01/25(金) 13 37 48.64 ID f+ntCcsx0 やがてセントミラ本隊も出撃し、このまま優勢になるかと思われたがセントミラの武器庫が爆破され、戦況は 再び混乱する。さらにドモラのヴァルハイトがついにエアベルンに迫る。 レイナス達は巨大な戦斧を振るうドモラに苦戦するが、どうにか凌ぐ。だが次に現れた相手に、レイナスは 仲間を下がらせ一人で剣を構えた。 ロナードである。 「これは俺達の問題だ……。絶対に手を出すな……。 親愛なる我が友よ……。せめて俺の手で、眠らせてやる」 しかしロナードは強かった。レイナスは再びロナードの剣に追い詰められてしまう。 それなのに、とどめを刺せというドモラの怒号が飛んでも、ロナードはレイナスにとどめを刺そうとはしなかった。 今がチャンスとベルンハイムがエアベルンを撤退させる。ドモラも即座に追おうとするが、そこにセントミラ上空に 赤い閃光弾が放たれた。それはセントミラの勝利を示していた。 こうしてカイゼルシュルト軍はセントミラより撤退していった。 エアベルン船内ではレイナスがニアに施術を受けていた。どうにかカイゼルシュルト軍を追い払えたことに安堵する 面々だったが、ヴァイスの表情は険しい。彼はロナードの首筋に、ある痣を見つけたのだ。それは彼が調べている 『エアゲート』に関連していた。 ヴァイスはレイナス達に聞いてほしい話があると言って、もう一度王に会うよう頼む。 一方、ドモラはカイゼルシュルトに帰還し、カイゼルシュルト王に報告へ向かっていた。だが王はそれに対して 何を言うでもなくただ一言「神の塔へ行け」と虚ろな目で告げる。しかも今回はロナードではなく、最近カイゼル シュルトに姿を現した謎の人物、ザマを連れて行けというのだ。 怪しげに笑うザマを薄気味悪く思いながらも、ドモラは神の塔へ向かう。 393 :フライハイトクラウディア 1 ◆lj5erOnLIg :2013/01/25(金) 13 43 58.88 ID f+ntCcsx0 セントミラ城にて、レイナス、ニア、ハント、ベルンハイムの四人は再び王に謁見する。 そこで話されたのは、エアゲートという突如空に現れた穴のことだった。それは最近カイゼルシュルト領の上空に現れ、 そこから少しずつ未知の魔獣が現れているというのだ。 エアゲートは昔にも存在しており、その時はある装置によって封印された。今なぜそのエアゲートが現れたのかは 分からないが、その装置に何らかの障害が発生したものと考えられる。 よってカイゼルシュルトとバーデルゼンに、セントミラは協力を仰ぐが、その直後にバーデルゼンはカイゼルシュルトにより 全滅させられ、セントミラも襲撃を受けることとなった。 自分も参加した作戦にそんな裏が隠されていたとは知らず、ただ驚くしかないレイナス。カイゼルシュルトがエアゲートと 何か関係しているのは明白だった。 「我々は何が起きようとしているのか突き止めたいのです……。そのためには、みなさんの協力が不可欠です」 国がおかしくなった原因がそこにあるなら協力しない手はない。レイナスは快く引き受ける。 しかし肝心の装置がどこにあるかは分からない。まずはそこから調べる必要があるかと思われたが、 「神の……塔……」 そう呟いたのはニアだった。神の塔とはプテリュクスにある機械の塔で、前時代の遺物である。 なぜその場所に装置があることを知っているのか不審に思うヴァイスだったが、ニアはそれを語ろうとはしなかった。ただ、 自分は味方である。信じてほしいと言うだけで。 こうしてハントとヴァイスを新たに仲間に加え、レイナスはプテリュクスの神の塔へ向かう。 しかしその道中、エアベルンをエアゲートが襲う。あわや吸い込まれるかとなったその時、ニアが転送魔法を使うと言う。 だがそれはクラウディアには存在しないはずの魔法だった。ヴァイスの制止をはねのけ、ニアは魔法を発動させる。 394 :フライハイトクラウディア 1 ◆lj5erOnLIg :2013/01/25(金) 13 46 43.23 ID f+ntCcsx0 レイナスは夢でかつての自分を見た。あの士官学校での試験、レイナスは禁止されていた炎食の渓谷を通っていた。 しかしあまりにも強すぎる魔獣達に苦戦を強いられ、レイナスを含め全員が疲労困憊していた。もう限界だという部下を、 俺達の絆があれば乗り越えられると進むレイナスに非難があがる。もうついていけないと、一人が逃げたのを始め、 次々に逃げ出しついにレイナスは一人炎食の渓谷へ取り残されてしまった。 ハントの声に目を覚ましたレイナスは、自分がプテリュクスの街近くにある森にいることに気付く。だがニアやヴァイス、 ベルンハイムの姿はない。さらには、周辺を調べたハントによるとドモラの戦艦を見つけたというのだ。 カイゼルシュルトも神の塔へ向かっていることを悟ったレイナスは、自分達もそこへ向かうことにする。 森を抜けた先のプテリュクスの街でヴァイスと再会し、神の塔へ着いたレイナスは中に入る。しかしそこにはいくつもの死体と 夥しい量の血だまりがあった。そしてその中にニアが立ち尽くしていた。 呆然と振り返るニア、疑問を募らせるヴァイス。しかしレイナスとハントはまったく気にせずニアとの再会を喜ぶ。 魔獣や制御不能となったセキュリティロボット、数々のドアロックを解除してついには最上階にある装置に辿り着く。 だがそこには既にドモラがいた。さらにザマが装置を完全に壊し、レイナス達の前に姿を現す。 「ザ、ザマ……!」 「クックックッ……。こんなところでお会いするとは……」 初対面のはずのザマをニアは知っていた。さらにカイゼルシュルトに関わっているのか問う。 するとザマは笑いながら自分がカイゼルシュルト王を操り、国全体を動かしていることを話す。憤るレイナスは、ザマを 倒せば王は元に戻るというニアの言葉に、彼に剣を向ける。しかしザマはドラゴンを召喚し、この場から消えてしまう。 このままドラゴンと戦うしかないのかと思われたが、タイミングよくベルンハイムがエアベルンで現れる。ドモラの協力の もとレイナス達は神の塔から脱出する。その直前、ドモラはレイナスに告げる。 「あいつも……操られているぞ……」 ロナード――。レイナスの脳裏に親友の姿が浮かぶ。 395 :フライハイトクラウディア 1 ◆lj5erOnLIg :2013/01/25(金) 14 07 12.69 ID f+ntCcsx0 無事に空へ脱出した一行だったが、ヴァイスがニアを問い詰める。エアゲートを封印していた装置のありかや、ザマを 知っていたこと、クラウディアには存在しないはずの魔法を使ったことなど、あまりにも疑問点が多すぎる。 いつ裏切るか分からないと問い詰めるヴァイスと、ニアを信じるハントは一触即発の状態になる。 そこにレイナスの、ニアが裏切るわけないだろ! という声が響く。 「ニアはもう……仲間だから……」 誰にだって知られたくないことがある。しかしそれは裏切りではなく、仲間に嫌われたくないだけとレイナスは言う。 ハントはもともとそんなものは気にしない。 それまで詰問していたヴァイスはそんな二人に、単純な人達だと言いながらも、自分もレイナス達の仲間に入りたくなったと 本音を口にする。レイナスはそんなヴァイスにも、もう仲間だと告げるのだった。 こうして絆も深まった一行は、ザマを倒すためにカイゼルシュルトへ向かう。 396 :フライハイトクラウディア 1 ◆lj5erOnLIg :2013/01/25(金) 14 11 30.09 ID f+ntCcsx0 カイゼルシュルト軍の陽動をベルンハイムが引き受け、レイナス達は城壁から城内に侵入する。 侵入したそこには、ザマが待ち構えていた。 その隣には、親友ロナードの姿も――。 ザマはレイナスとロナードを殺し合わせようというのだ。 手を貸そうとする仲間を制して、レイナスは一人ロナードと対峙する。 「お前はずっと気付いてくれるのを待っていたんだな……」 レイナスとロナードの剣が交差する。ロナードの長刀から激しい剣撃が繰り返され、レイナスは受けるので精一杯だった。 しかし今度こそ親友を救いたいという思いが届いたのか、ロナードの剣に迷いが生じ始める。 やがて冷たい光を宿していたロナードの瞳に、正気の光が見えた。自らの意思でザマに施された術を解いたのだ。 しかしそれを見たザマは、使えない人形に用は無い、とロナードを吹っ飛ばしてレイナス達の前に自ら立ちはだかる。 ついにザマとの直接対決である。 一方吹き飛ばされたロナードは壁に叩き付けられ気を失っていた。その中でザマに術を施された時のことを思い出し、 ようやく覚醒する。 目の前で親友レイナスがザマと戦っている姿を見て状況を把握したロナードは、窮地のレイナスを助けるために 戦いの渦中に身を投じる。 ロナードの助けもあって、レイナス達は苦戦の末どうにかザマを倒すことができた。しかしザマは謎の言葉を残す。 「お前達は何も分かっていない。やがて変化が起きる……。全ての事象は……我々が下すのだ……」 ザマの亡骸を後にして、レイナス達は玉座へ急ぐ。そこにはザマの術が解けたものの気を失っている王が倒れていた。 ずっと赤い世界の夢を見ていたという王に、おそらくエアゲートの中の世界ではないかと推測するヴァイス。 レイナスは魔獣を葬って欲しいという王の願いを託される。 「カイゼルシュルトの名にかけて世界を頼んだぞ!」 397 :フライハイトクラウディア 1 ◆lj5erOnLIg :2013/01/25(金) 14 13 30.77 ID f+ntCcsx0 その時カイゼルシュルト上空に以前に見た時よりさらに大きさを増したエアゲートが出現する。そこからは 見たこともない魔獣がどんどん溢れていた。 あまりの大きさに絶句する一行に、ついにニアが口を開く。 「みんなに話したいことがあるの……」 ニアによると、エアゲートはエルディアという別世界に繋がっているという。エアゲートの先は、元は魔獣研究所だった アルペイトケイヴ。そこに、フューゼという魔獣を生み出す魔獣が現れ、エルディアの人々は生み出されたその魔獣と 何年も戦い続けているというのだ。フューゼには何度も戦いを挑んだがその度に敗北してきた。 その話を聞いたレイナスは仲間を振り返る。何も言わずとも全員解っていた。 ロナード、ハント、ヴァイス、そしてニア。全員で、クラウディアとエルディアのために、フューゼを倒すことを決意する。 エルディアは赤い大地がどこまでも続く荒れた世界だった。そこに天高くアルペイトケイヴがそびえ立っていた。レイナス、 ロナード、ニア、ハント、ヴァイスの五人はついにそこに降り立つ。 中は壁や床が奇妙に脈打ち、まるでひとつの生き物のようだった。手強い魔獣や入り組んだ通路を抜け、一行は ついに最下層に辿り着く。 フューゼは三つの顔を持つ巨大な魔獣だった。想像を絶する相手に思わずたじろぐ仲間を鼓舞し、レイナスは 世界を守るために剣を抜く。 からくもフューゼを倒したレイナス達を、突然の揺れが襲う。あまりの激戦にアルペイトケイヴが崩れようとしているのだ。 急いでエアベルンに戻ろうとするが、フューゼは完全には倒れていなかった。しかし応戦していては逃げ遅れてしまう。 ヴァイスは咄嗟にニアと協力して転送魔法を発動させる。しかしその寸前で、ロナードはただ一人、フューゼに 止めを刺すために魔法陣から離れるのだった。レイナスの呼ぶ声虚しく、ロナードの姿は消えた。 エアベルンの甲板へ無事に脱出できたレイナス達を見て、ベルンハイムはすぐにこの場を離れようと言うが、 レイナスはアルペイトケイヴを見つめる。 「あいつが待ってる……」 レイナスはニアの制止を振りきって再びアルペイトケイヴに降り立つ。 「みんな、ありがとう……」 398 :フライハイトクラウディア 1 ◆lj5erOnLIg :2013/01/25(金) 14 14 55.61 ID f+ntCcsx0 最下層ではロナードが満身創痍で倒れていた。そこにレイナスが駆け寄る。助からないことを知っていて なぜ助けに来たと問うロナードに、レイナスは『あの時』のことを話し始める。 それは士官学校の試験で遺跡に火石を取りに行った時のことだ。禁止されていたルートを行ったことで、 レイナスの仲間は全員逃げ出した。 友情、信頼、絆。現実の前では何の意味も持たないことを、レイナスはとっくに解っていた。だが認めたくなくて、 知るのが怖くて、友人や仲間に見捨てられることに怯えて必死に強がっていたのだ。 そして――、そんな自分が嫌いだった。 あそこで死を覚悟していたあの時に、ロナードは来た。 汗と魔獣の返り血で全身ぐっしょりで、体中傷だらけになりながらロナードは事も無げにこう言った。 「レイナスじゃないか。こんな所で何やってるんだ」 と。 昔話から戻ったレイナスはロナードに言う。 「だから来たのさ……。同じことを言いにね」 「……馬鹿だな」 死を前にしているとは思えない笑い声が二人の間に響く。 その時、突如二人の前にフードをかぶった三人の人間が現れる。3種植合成種だとか、空の者だとか、 E.B.Sだとかいう単語を口にする者達にレイナスは警戒心を露わにするが、三人はまったく意に介さない。 さらにアルネウスの光やファルバナなど聞いたこともない単語が飛び交う。 やがてリーダーらしき男が何かを言うと、レイナスとロナードの足元に魔法陣が浮かぶ。それは転送魔法の 魔法陣だった。 一瞬の後に、レイナスとロナードはアルペイトケイヴから消える。 甲板ではレイナスとロナードをどうにか救えないのか、しかし何もできないことを悔やむニアとハント、ヴァイスの それぞれの姿があった。 そこに空間が歪み、レイナスとロナードが現れる。 二人の無事と再会を喜ぶニア、ハント、ヴァイスにレイナスは笑顔を向ける。 「みんな……。ただいま……」 399 :フライハイトクラウディア 1 ◆lj5erOnLIg :2013/01/25(金) 14 19 51.36 ID f+ntCcsx0 以上です 少々ツッコミどころがあるストーリーだったり、消化不良な点があったりしますが 10年近く前のモバイルゲームなので致し方ないとご容赦ください シリーズ化していて、現在4まで出ています。3で1から続く話は終わって、 4はまったく別の独立したストーリーになっています
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そうそう、そういえばこの旅ではこんなこともあった。 なんてこった、この俺サマが旅の思い出を全て語ったわけではないことを―自分自身で理解していなかったなんて!世界の損失…とまではいかないが、せっかくだから話そうか。 そう、呑気でゆったり、それでいてドタバタしてたあの旅に微塵も影響を及ぼさなかったおもしろい出来事たちを、いま此処で。 外伝1章 俺サマと愉快な仲間たちと手下 優れた魔導師も、そうじゃなくても、たいていの魔法使いは使い魔を従えている。ていうか、最近は魔法が使えない人間もペット感覚で飼い始めているとか何とか… たいていは主人に忠実で、あまり複雑な感情を持たない。まぁせいぜい喜怒哀楽程度のものらしい。 その点から言って、プリアラは力も強いし、感情も複雑。さらには主人から逃げ出したっていうところが並外れてるっていうかなんというか…。あいつはとんでもない奴だってことがわかってもらえればそれでいい。おっと、こんなこと思ったらぶっ殺されかねないんだけれどね。 今俺たちは荒野を歩いている。木が生えていなくて日陰になる場所もないから太陽の光がビシビシ当たって熱い。吹き抜ける風は熱波のごとく。さらに厳しいのは全く町が見える気配がないっていう現実だ。 「…俺疲れたよ……」 「しっかりしなさいよ!ほら、レオンを見て!鎧なんて着てるから―」 「アハハハハ熱い熱い熱いむしろ痛いーーーーーーー」 「…俺、もうちょっと頑張ってみるよ…」 可愛そうに、人間が一人だけびっくり人間のなかに入り込むとこういう目にあうらしい。…そう、俺もプリアラもほとんどバケモノみたいなものだ。普段は呪うべき称号ではあるが、こういうときには役に立つ。竜の姿をとっていなくても、やっぱり普通の人間よりは格段にタフだし。 「…ん?」 空間が黒くねじれた。やだなぁ、これは魔物が生まれるときのサイン。このかったるいときに魔物と戦わなければならないのは、気が進まない。他の2人も同じらしく、その場からさっさと離れようとしていた。俺もそれに従う。…が 「グオォォォォォオオオオオ!」 「えぇぇぇぇえ?!ちょ、早くない?!生まれるのはやい!このこ安産だ!すんげぇ安産だったアァァァァァ!」 「ふざけてる余裕があるなら戦う準備しなさいよっ!」 「み、見たことのないモンスターですねっ…強そうだ…」 姿はただのデビルに似ているが、ゴブリンのようなうめき声。そして、ゴーレムのような巨大さだ。まったく、こんなのがホイホイ生まれてたまるかよ。仕方なしに俺はゴブリンに向かっていった。まぁ生まれたばかりの魔物なんだ。一発魔力のこもった蹴りでも食らわせれば、簡単に倒れるに違いない。 「おーらよっと…って、へ?」 「てへっ?」 「復唱しないの、レオン!ヴァイス、どうしたのよ?!」 プリアラが魔法弾を当てながら叫んだ。俺の背中を冷や汗が伝う。何度力を入れても無駄だ、この状態を打破できない。むしろ悪化しているのか? 「…足、取れない…ていうか、手も取れないイィィィィ!」 「うぇえ?!じゃあ、僕も攻撃できませんよ!剣が駄目になっちゃいますよ!」 「レオン!お前いつからそんな子になったのっ!俺とお前の剣どっちが大切なのか胸に手を当てて考えろォォォォ!」 「…私がやるしかなさそうねっ……」 プリアラは強力な呪文を唱え始めた。ちょっとまて、そんな呪文つかったら、俺にも当たる!俺にもあたる!どうするんだよ、お前ら仲間をいたわる気持ちはねぇのかアァァァァァ! そのときだった。モンスターの頭に矢が数本ささり、あっさりとモンスターは消えた。矢には弱い魔法がかけられているようだ。 もしかして、もしかしなくても。こんな魔法をつかうのは… …まずい。逃げないと。 「おいお前らッ!逃げるぞ!」 「へ?!ヴァイス?!」 「どうしたんですかっ?!」 「ええい、ごちゃごちゃ言わないでついてこーいっ!」 相手はすばやい、逃げ切れるか?否、逃げ泣ければ!でないと、俺が俺が俺がッ! 「みぃーーーーーーーつけたッ!」 悲しい目にあうからだ。 案の定、上から降ってきた物体に俺はどつかれ、地面に平伏した。その様子を見ている二人の目線はまぁ大体想像がつく。 「この子…誰?」 「さぁ…?」 俺の上にのっかっているのは小さい子どもだ。金髪に金色の目。修道服をまとっているが、俺とは違って白い一般的なものだ。そして、あどけない顔にのっかっているモノクルが賢そうな雰囲気をかもし出していた。背中には少し大きい弓矢を背負っている。 なにを隠そう、こいつが俺の恐れている奴なのだ。 「ヴァイス様!す、すいません!俺としたことがヴァイス様をばたんきゅーにさせるとはアァァ!!!!」 「…ベル…ク」 「ベルク?この子の名前ですか?」 「はい、といっても本名はベルセルクといいます。こちらにおられる漆黒の優しき君からいただいた名前です」 「ウガァァァァア!てめぇーーー!その甘ったるい話し方をやめねぇか!」 そう、こいつは甘ったるい。いちいち甘い。その甘さに耐えかねて俺はこいつをゼクスの所においてきたのだ。なのに…なぜ?! 「いやぁ、俺をだれだとおもっているんですかっ!ヴァイス様の居場所ならすぐに判明しますよ~。俺は調べる能力を授かったエレメンティアマウスなんですから!」 エレメンティアマウスとは使い魔の一種だ。広く世間で知れ渡っているもの凄く弱い…スライムのような存在だ。そのベルクに俺が名前を与えたわけだから、当然こいつは俺の使い魔ってことになる。プリアラが訝しげな表情で俺を見た。 「あなたも使い魔を従えていたのね…幻滅」 「ちょっとまてよ、お前のトコのマスターと一緒にするな」 「そうですよ!そこの女ァァ!ヴァイス様に謝れよ!ていうか、ヴァイス様にヘンな気起こしてないだろうなー!そこのヘタレもッ!ヴァイス様の耳引っ張ってみたいとか髪引っ張ってみたいとか思ったりしてないだろうなー!」 小さいくせに他人には生意気なのもこいつの特徴。あぁ、さようなら俺の威厳… 「なによ、あなた鼠らしいわね…?私ヤミネコだから本能がうずくのよねー…?」 「ヴぁ、ヴァイス様~!この女なんなんですかぁッ!」 「プリアラ。本人の言ったとおりヤミネコだ。逆らわないほうが良いぞー。ついでにこの人レオン。ただの…ツッコミ役だ」 「ハ・・・ハハ、ヴァイスが僕のことをどう思っているかよぉくわかったよ」 「なんだとぉぉぉう!おいレオンとやら!この俺をさしおいてヴァイス様につっこむとはいい度胸!お前はこれから俺とヴァイス様の敵だ!敵だ!」 「…あー、レオン、あんまり気にしないでやってくれ」 大丈夫、こいつゲロ弱ですから。敵とかいいながらまともに戦えませんから…と思った瞬間、ベルクが姿を変えた。いつもの子鼠の姿に変えるかと思いきや。俺よりも背の高くなったベルクがそこにいて。知的な表情、端正な顔つきの青年としか言いようのないベルクがたっていた。弓を片手に持っている。今度はあまり違和感がなかった。 「いや、大きくなったって、弓と剣じゃあ弓が不利だろ」 「…はッ!さ、さすがヴァイス様!気づきませんでした!」 「ねぇヴァイス。この子なんとなくイラっとくるんだけれど」 「すんませ…」 「僕もちょっとイラっときました」 「うるさいぞ人類の敵!」 「いつの間にか人類の敵にまでされた!」 「あーもう、ベルク!お前な!孤児院の面倒頼むって言っておいたろ?!帰れ帰れ!おうちに帰れ!オデンとジャンプ買って帰れーーー!」 「…そんな、ヴァイス様~!!駄目ですよ、俺がいないとヴァイス様絶対夜寂しくて泣きますよ!俺がいないとヴァイス様はため息ばっかりついて何事も力がはいらないの知っているんですよ!?」 「ただの妄想だからね!決して事実じゃないからね!このやろ、もういい!いいから俺を傷つけるなアァァァ!」 少し遠くでプリアラとレオンの生暖かい目線が俺をとらえていることを感じながら俺は説得を続け、やっとベルクは去っていった。あいつが帰ったときにはもう、日は沈んでいたけれど。